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抗生物質について正しい知識を持ちましょう~カゼに抗生物質は有害です~

2020.04.03

アメリカ小児科学会の一般向けパンフレットを翻訳しました。
 原文 https://sebpmg.com/wp-content/uploads/2015/06/Antibiotic_Use.pdf
とても分かりやすく参考になります。
日本小児科学会もこのような文書を発表してくれると良いのですが…

抗生物質はとても重要な薬です。
でも残念なことに日本では抗生物質が子どもに対して乱用されています。
お子さまにとって正しい治療を受けるために、ぜひ抗生物質に関する正しい知識を学んでください。

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あなたのお子さまと抗生物質について
~無用な抗生物質は有害です~
Your Child and Antibiotics:Unnecessary Antibiotics CAN Be Harmful

<抗生物質とは>

抗生物質は最も重要で強力な医薬品です。
正しく適切に使われれば生命を救います。
でも不適切に使われた場合はお子さまにとって有害な事もあります。
カゼのようなウイルスによる病気に抗生物質は使われるべきではありません。

 

<細菌とウイルスの違い>

ほとんどの感染症は細菌とウイルスによって起こります。
咳やノドの痛みなど、カゼの症状のほとんどはウイルスが原因で起こります。
細菌による感染症は抗生物質で治療できます。
でもウイルスによる感染症、つまりカゼには無効です。
もし抗生物質を服用した後にあなたのお子さまのカゼが治ったとしても、それは自然経過なのです。
抗生物質はウイルスには効かないのですから。

 

<抗生物質が効かない細菌>

抗生物質が効かない抗生物質耐性菌が増えてきています。
ある種の耐性細菌はより強力な抗生物質で治療できますが、入院して点滴の治療が必要になることもあります。それでも治療できない細菌もあります。
抗生物質をたくさん服用すればするほど、あなたのお子さまは抗生物質耐性菌に感染し易くなってしまいます。

 

<細菌はどうやって抗生物質耐性になるのか>

私たちが抗生物質を服用すると抗生物質の効く細菌は死にますが、抗生物質耐性菌は生き残り増殖します。
抗生物質投与を不適切に繰り返し服用することが、耐性菌が増える主な原因となります。
これらの耐性菌の感染は、家族や周囲の子ども達に広がることもあります。

 

<どんな時に抗生物質が必要なのか?>

どんな時に不要なのか?
この質問にはかかりつけの医師が最も適切に答えてくれるでしょう。
その時々の状況・診断によって変わってくるからです。
いくつか例を上げます。

*中耳炎
いろいろなタイプがあり、抗生物質が必要なことも不要の事もあります。

*副鼻腔炎
黄色や緑の鼻水が出てもほとんどのお子さんは細菌感染はありません。抗生物質が必要なのは長期間続く場合や痛みがひどい時などの重症なケースだけです。

*咳や気管支炎
気管支炎でも抗生物質が必要な子どもはまれです。

*ノドの痛み
ほとんどはウイルスによる症状です。ただ溶連菌感染によるノドの痛みは抗生物質が必要で、これは迅速検査により診断できます。

*カゼ
カゼの原因はウイルスで、症状は2週間以上続く場合があります。
抗生物質はカゼには効きません。かかりつけの医師は、カゼが自然に治るまでの間の症状が楽になるような処置方法を教えてくれるでしょう。

 

<ウイルス感染から細菌感染への変化>

ウイルス感染症はときどき2次的な細菌感染症を引き起こします。
けれどもウイルス感染症の時に予防的に抗生物質を投与しても意味はありません。
(カゼがひどくならないように抗生物質を、は無意味なのです)
それどころか予防的な抗生物質投与は抗生物質耐性菌による感染症を引き起こすこともあります。
大切なことは状態が悪化したり、症状が長引いているときはしっかりかかりつけ医に伝えることです。そうすれば適切な時期に正しい治療が行われるでしょう。

 

<よくある質問>

Q)子どもを抗生物質耐性細菌から守るために、何かしてあげられることはありますか?
A)医師から本当に必要と判断されたときにだけ、抗生物質を与えることです。
抗生物質はカゼ(せき、鼻水、ノドの痛みなど)には効果がありません。
カゼは子ども自身の回復力で治ります。

Q)子どもの鼻水が透明から黄色や緑に変わったら抗生物質が必要でしょうか?
A)黄色や緑の鼻水が細菌感染を示すわけではありません。
鼻水の色が変化することはカゼの経過の中では自然な事なのです。

Q)つまり子どもには抗生物質を与えない方が良いという事でしょうか?
A)抗生物質はとても有益で重要な薬品ですが、細菌感染に対してのみ使われるべきなのです。もし抗生物質が必要と判断されて処方されたら、その時は指示された期間をしっかり守って服用してください。決して後で使うために取っておいてはいけません。

Q)どうやったら子どもがウイルス感染なのか細菌感染なのか分かるのでしょうか?
A)自分の子どもは治療が必要なのではないか、と感じたらかかりつけ医に判断してもらってください。でも、よく覚えておいてください、「カゼはウイルスによって起こり、抗生物質は必要ない」のです。

 

<あなたのお子さまを抗生物質耐性の細菌感染から守るために~ご両親への処方箋>

細菌感染とウイルス感染は違うという事を知っておいてください。
そして主治医にはどちらの感染症なのか確認しましょう。
ウイルス感染に抗生物質は使われるべきではないことをしっかり理解してください。

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